新編・伊勢物語 第六百四十二段 ごんぎつねの里(前編) 星原二郎第六百四十二段 ごんぎつねの里(前編) 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成二十九年九月の彼岸入りを前に 知多半島は半田の新美南吉ゆかりの地を訪ね 歌を 矢勝川の 彼岸花いま 花盛り 秋の疾風(はやち)よ いたくな吹きそ 里山の 権現山の 森の中 いたづら子狐 ゐむやと見やる 『ごんぎつね』読みてよりはや 半世紀 ごんの臨終(いまは)を 今も忘れず