新編・伊勢物語 第六百三十二段 鰯雲 星原二郎第六百三十二段 鰯雲 昔、男ありけり。今も男ありけり。 その男、平成二十九年の秋、空を眺めて 歌を 鰯雲 砂の如しと 譬(たと)へたる 子規先生に 頷く秋空 と、詠み 正岡子規先生の的確なる表現力に 改めて尊敬の念を強めけり。 因みに正岡子規先生は「春の雲は綿の如く。 夏の雲は巌の如く。冬は鉛の如し」と、その著書に 書き遺しけり。