新編・伊勢物語 第六百二十六段 忘れ得ぬ味(其の陸) 星原二郎第六百二十六段 忘れ得ぬ味(其の陸) 静岡の 叔母来るごとの 手土産は 山葵樽漬 田丸屋なりき 「三河武士」とふ旨酒 飲みゐつつ 頑固一徹の 伯父浮び来ぬ 秋田なる 湯沢の町は 知らねども 「美酒爛漫」を 飲めば想ふも 串焼の 三河赤鶏 塩醤油 いづれも合ひて 香りかうばし 炊き込みて 丹波黒豆 胡麻塩を 振ればうましも 湯気立つ飯は