新編・伊勢物語 第六百二十二段 忘れ得ぬ味(其の弐) 星原二郎第六百二十二段 忘れ得ぬ味(其の弐) 戸隠の 蕎麦の老舗(しにせ)に 修行せし 君が店内 いつも賑はふ(西尾の仁王門むらまつ) 今日よりは 秋の新蕎麦と 知らされて 嬉しくたぐる 笊(ざる)の蕎麦かな 雪降れば 煮込みうどんの 熱々の 恋ひしくなりて 「こなべ」に寄りぬ 飲みほして 空瓶なれど この形 面白ければ 棚に飾らむ 朴葉味噌 食(は)めばしくしく 高山の 炉端思ほゆ 飲まざらめやも