第六百段 平和を願ふ八月の歌
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、平成二十九年六月
朝日新聞社が募集せし「平和を願ふ 八月の歌」に
次の二首
舞鶴の 平和の鐘を 高らかに
三つの願ひ込め 打ち鳴らしたり
幾度も シベリア抑留 語りましし
国語教師を 憶ひ出づる夏
をもて応募し入選の通知を待ちけり。
されども大会前に通知は来たらず
悔し涙を流しけり。
さて一首目の歌の心の三つの願ひとは
勿論、一つはシベリア抑留にて犠牲になりたる者の鎮魂と慰霊
二つめは非戦の誓ひ
さて三つめはと問はれなば…個人的なる事柄にて
公表を憚りけり。
二首目の歌の心は
高校時代の国語の恩師である、今は亡き
シベリア抑留より生還を果たしし金子先生の事なり。
合掌。