第五百七十八段 アッツ島の桜は今も
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、平成二十九年七月十五日の
刈谷市文化協会の短歌部会の定例の歌会に
次の歌
アッツ島に 桜は今も 咲きゐるや
斃れし兵を 慰めけらし
を事前に提出し上位得点を狙ひ参加せり。
アッツ島はベーリング海に浮かぶアリューシャン列島の
最西の日付変更線を西に迂回させし小さき島なり。
先の大戦にて日本軍が最初に玉砕せし島にて
アッツ桜は短き夏に咲く小さき草花。
日本の兵がアッツ桜と呼び賞でたれば
その歌の心、鎮魂と慰霊なり。
歌会にては二十一名参加の中で
五名の賛同を得られければ
まづまづと頷き
暑き季節、熱き心にて歌会場を去にけり。