第五百六十九段 蟻の復活
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、平成二十九年七月七夕を前に、伊勢の国は
湯の山温泉へと行きけり。グリーンホテルの日帰り入浴を
自慢の露天風呂にて楽しみけり。たまたま湯上りに眼を
やれば蟻一匹、今まさに踏み殺されるを目撃せり。
その男、憐れに思ひ、末期の水代りに湯を掛けやると、
再び動き始めけり。
驚きて、歌を
蟻ひとつ 踏み殺されしと 思ひしが
「癒しの湯」にて 蘇りけり
と詠み 湯の山温泉の湯の効能の素晴らしさに
賞賛を惜しまざりけり。