新編・伊勢物語 第五百六十二段 常識と非常識 星原二郎第五百六十二段 常識と非常識 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、創造的活動に常識は邪魔なりとの考へなり。 詩歌に限らず創作の場面に於いては特に独創的発想が 求められければ かかる時、従来の常識的思考方法では 枠内の作品しか生まれ得ず と、思ひ歌を 常識を 捨て得る事こそ 大きけれ 天才と馬鹿 一重の違ひ と 詠みけり。 してその男、天才とも呼ばれず 馬鹿者扱ひもされぬ、凡才にて 常識を破り得ぬ歌を詠み続けけり。