新編・伊勢物語 第五百五十六段 花菖蒲園を行く和装の麗人 星原二郎第五百五十六段 花菖蒲園を行く和装の麗人 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成二十九年の花菖蒲の見頃となりて 知立神社の菖蒲園へと行きけり。明治神宮より 下賜されし花菖蒲、あまたあれば見事なり。 見惚れる程に花菖蒲に勝るとも劣らぬ和装の麗人 前を通りければ、歌を 花菖蒲 小雨に濡れて 競ふ中 径(こみち)をいそぐ 美しきひと と、詠み ストーカー紛ひに、後を追はむと 思ひしかど、その男の足にては叶はぬ事と 諦めけり。