新編・伊勢物語 第五百十八段 越後の駒の湯温泉(前半) 星原二郎第五百十八段 越後の駒の湯温泉(前半) 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成二十九年の初夏、越後の駒の湯温泉へと行きけり。 行きて歌を あか裸 さらせる吾は 渓流の 巌と化して いで湯にひたる 聞こゆるは 渓流の音 のみにして 命の源(かみ)に 還る心地す 渓流の 音こそよけれ 子守唄と 聞きつついつか 安くし寝入る 季節ごと いな月ごとに 来たきかな 越後駒ケ岳 折々の貌(かを)