新編・伊勢物語 第五百十六段 人生の三行詩 星原二郎第五百十六段 人生の三行詩 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成二十九年五月、突然に井上陽水の 「人生が二度あれば」を思ひ出し 歌詞の冒頭「父は今年二月で六十五」 に準(なぞら)へて言へば「吾は今年五月で六十五」 と思へば歌ならず三行詩を 一度きりでいい 二度はなくていい 人生は と、歌の創作ノートに記し 振り返りみれば失敗ばかりの 人生なれども六十五にて 達観したる思ひに至りけり。