新編・伊勢物語 第五百十五段 青畳 星原二郎第五百十五段 青畳 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成二十九年の初夏、住まひの畳を 近所の頑固なれど腕は確かなる職人が大将の畳屋に 頼み畳表を換へけり。真新しき畳に寝転び、歌を 青畳 入れ換へ了へて すがしかり いのち全(またけ)く この夏越えむ と、詠み 俗に「畳と何々は新しきが好し」といふは まこととしみじみ思ひを深めけり。