新編・伊勢物語 第五百九段 名古屋港にて 星原二郎第五百九段 名古屋港にて 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成二十九年の四月の或る日 名古屋港へと行きけり。 行きて徒然なるままに海を見やりて 歌を 海上に 飛び跳ねあがる 魚(うを)をりき ひまに遊ぶや 見入る吾もや と、詠み 鯔と思はれる魚体の時折 水面より 二十~三十センチ程ジャンプする様子を 興味深く眺め拍手を送りけり。 どちらも暇つぶしの所作なりと頷きつつ 人生のとどのつまりもまた然りと思ひけり。