新編・伊勢物語 第五百六段 佐渡島をフェリーにて離るる 星原二郎第五百六段 佐渡島をフェリーにて離るる 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成二十九年の春、佐渡島へと行きけり。 島にて四日間を過し、フェリーにて直江津へと渡る船中にて 歌を 浅ましきは 船に沿ひ来る 鴎鳥 カッパエビセンを 欲(ほ)りて海越ゆ と詠み 海峡を渡るだけの体力があるのであれば 自らが餌を探すのに費やさば、楽に手に入れる ことも叶ふであろうと思ひしかど、真相は相手が鴎だけに 聞き出し難きと思ひけり。