新編・伊勢物語 第五百三段 佐渡島にて、金山跡を訪ねる 星原二郎第五百三段 佐渡島にて、金山跡を訪ねる 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成二十九年の春、佐渡島へと行きけり。 佐渡の金山跡を訪ねけり。坑道を深く潜り行きて 歌を 人間の 黄金(きん)に対する 執着の 深さが深く 間(ま)歩(ぶ)掘らせけり と詠み 徳川幕府の財政を支へし大判小判の黄金、 及び銀の採掘跡をまつぶさに見て「欲の深さ」に 人間の「業の深さ」を知らさるる思ひしにけり。