新編・伊勢物語 第四百八十一段 土佐の久礼にて青柳裕介氏を悼む 星原二郎第四百八十一段 土佐の久礼にて青柳裕介氏を悼む 昔、男ありけり。今も男ありけり。 その男、平成二十九年春弥生 四国は土佐の久礼港へと行きけり。 久礼港は青柳裕介氏の漫画「土佐の一本釣り」の 舞台の鰹の水揚げ港なり。 若き頃ビックコミックの愛読者なれば 平成十三年の五十六歳での死去を悼み 歌を 土佐の久礼 青柳裕介の 居しところ 漫画の舞台 懐かしみ佇つ と詠み スケッチブックを持つ青柳裕介氏の石像に降る春雨を わが涙雨とも思ひつつ 長き間 立ち尽くし続けけり。