第四百八十段 吉井勇顕彰短歌大会に参加
昔、男ありけり。今も男ありけり。
その男、平成二十九年三月十一日
四国は土佐の香美市の猪野々にある吉井勇記念館へと行きけり。
目的は吉井勇顕彰短歌大会に参加なり。
吉井勇はその男の所属する短歌グループの大先輩にして
「♪命短し恋せよ乙女♫」ではじまる
「ゴンドラの唄」の作詞者としても有名なり。
香美市の猪野々は彼の隠棲の地にして
彼に「寂しければ」で始まる五十余首の連作有れば
その男も歌を
寂しければ 議論好きなる 友よ来よ
詩歌と政治 肴に飲まむ
まどろみて 海潮音を 聴きゐたり
還らむ時の 近づくらしも
の二首をもて入賞を狙ひしかど
意に反し大賞どころか、佳作にも選ばれず
失意のうちに吉井勇記念館を去りけり。