新編・伊勢物語 第四百七十段 蒲郡の上之郷城址 星原二郎第四百七十段 蒲郡の上之郷城址 昔、男ありけり。今も男ありけり。 その男、平成二十九年の早春 蒲郡市は上之郷町にある上之郷城址へと行きけり。 行きて歌を 蒲郡の 海を見下ろす 高台の 上之郷城址 春風ばかり この城も 家康により 落ちしとふ 忍びの者の 暗躍ありて 城近き 木立にひそむ 忍びなれ 狙ふは城主の 御首(みしるし)ひとつ と詠み 戦国時代にタイムスリップせし 感覚を持ちけり。