第四百六十五段 八百比丘尼(後半)
悲しきは 生き永らふる ことならむ
死の安楽を ゆつくりと待つ
若狭の国 小浜の町の 遠き昔
思ひ描きて 巡りゆくなり
伝説は 伝説にして 真実に
あらざるなれど 意味を問ひつつ
老いゆゑに 衰ふ身体 嘆くこと
改め得るやと 自に問ひ掛けつ
人魚とは 如何なるものと 思ひつつ
出だされしかば 迷ひ持つらむ
念願の 九絵を喰へども これの世に
未練あらじと 思はざりつつ
万葉の 「寿」の訓 知るからに
「いのちながきこと」 程々がよし
と詠み 手塚治虫先生の名作「火の鳥」にも
取り上げられし<永遠の命>を考へ続けけり。