新編・伊勢物語 第四百六十六段 かかる殺人も罪なりや? 星原二郎第四百六十六段 かかる殺人も罪なりや? 昔、男ありけり。今も男ありけり。 その男、平成二十九年三月一日の 八十代の男性が認知症の妻を 介護疲れの果てに殺害せし 八王子でのニュースを知りて 歌を 六十年 連れ添ひながら 殺害し 「ごめんな」といふ 幾たびもいふ と詠み 深き夫婦愛の果ての この場合の殺人も罪なりや? との自問自答を繰り返しけり。