新編・伊勢物語 第四百六十四段 八百比丘尼(前半) 星原二郎 | isemonogatari2のブログ

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第四百六十四段 八百比丘尼(前半)

 

昔、男ありけり。今も男ありけり。

その男、平成二十九年の冬

若狭の国は小浜市の空印寺に伝はる八百比丘尼の

入定の(いはや)へと行きけり。

行きて歌を

 

八百年を 生きしと伝はる 比丘尼ゐて

いのち永きは しあはせならず

 

あやまちて 人魚の(しし) 食ふからに

とはの命を 得たると伝はる

 

人魚の 肉食ふからに 若きまま

老い知らざれば 嘆かふ乙女

 

空印寺 八百比丘尼の 入定の

つひの岩屋に 霙止まざる

 

嘆かひの はてに選べる 入定の

比丘尼の願ひ 岩屋にこもる