新編・伊勢物語 第四百六十二段 青い目の人形(前半) 星原二郎 | isemonogatari2のブログ

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第四百六十二段 青い目の人形(前半)

 

昔、男ありけり。今も男ありけり。

その男、平成二十九年の冬、幸田町郷土資料館にて開催中の

「青い目の人形」展を鑑賞に行きけり。

資料を読み其の歴史を知りけり。

日米親善友好の証として昭和の初めに

贈り合った「青い目の人形」と「市松人形」。

其の後、日米開戦がそれぞれの人形に数奇にして悲劇の

歴史を歩ませることになりけり。こんにち、三百三十五体の

人形が現存することを知り、その二体

つまり、幸田町のグレース・エッサと

友好姉妹市の島原市のリトル・メリーに

逢ひ得たる感激を歌に

 

 昭和二年 日米親善と 贈られて

   来し人形は 嗚呼一万二千

 

 雛祭る 日本に合はせ 二月尽

  各地に届きし セルロイド人形

 

 開戦に 敵性人形と いはるるは

  いたしかたなきか 其の当時にては

 

 校長は 子等を前にし 昨日まで

   慈しみ来し人形 竹槍に突く

 

 戦時中 校庭に焼き 捨てられて

  罪なき人形 消えゆきにけり