新編・伊勢物語 第四百五十九段 木魚殿に捧ぐ(前半) 星原二郎 | isemonogatari2のブログ

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第四百五十九段 木魚殿に捧ぐ(前半)

 

昔、男ありけり。今も男ありけり。

その男、仏教徒にして曹洞宗の檀家なれば

朝ごと仏壇の前に座して経文を唱へけり。

して或る時、仏壇の脇の木魚への思ひを歌に

 

禿(はげ)頭 なほもて叩く 日日にして

幾歳経りぬ わが家の木魚

 

朝ごとに ()を叩かるるが 役目にて

心しあらば 何思ふらむ

 

いつの世の 匠の作か 知らねども

音よきわが家の 木魚いとほし

 

おん前に 坐して動かぬ 木魚殿

日日の勤めを 続けまします

 

おん前の 脇にしあれど ほとほとに

顧みらるる ことなき木魚