第四百五十三段 辰野の道祖神(前半)
昔、男ありけり。今も男ありけり。
その男、平成二十九年の早春
信濃の国は辰野町へ日本最古ともいはれる
道祖神を拝まむと行きけり。
行きてて歌を
信州の 辰野の町の 沢底は
福寿草咲く 道祖神の里
五百年を ここに在し 里人を
見守りたまふ 塞の神かも
穏やかに 笑みつつ手と手 取り合ひて
里守り来し 塞の神はも
男は烏帽子 女は髪長く 顔は
さだかならねど 睦まじく見ゆ
高砂の 翁媼の 睦まじき
姿を彫りて 守りとしたり