第四百四十九段 馬籠と妻籠にて歌ならず俳句を
昔、男ありけり。今も男ありけり。
その男、平成二十九年の二月の中旬
知立市文化協会の研修旅行とて
馬籠と妻籠へとバスにて行きけり。
バスの車中にて、協会の仲間から
ワインと焼酎を勧められて飲みけり。
したたかに飲みたれば馬籠と妻籠を
そぞろに歩めども歌を詠まざりき。
しかして、戯れの俳句をいくつか即興にひねりけり。
ひねりたる俳句は
屋根の上 石載せ雪載せ 妻籠かな
冬晴れの 妻籠の宿の つぼみ梅
陽だまりの 店先借りて 日向ぼこ
雪止みて 古き旅籠の 氷柱かな
人多に 冬の妻籠の 石畳
と バス車内にて披露せししかば
少なからぬ拍手を浴びけり。