新編・伊勢物語 第四百四十五段 豊川の三明寺 星原二郎第四百四十五段 豊川の三明寺 昔、男ありけり。今も男ありけり。 その男、豊川は三明寺へと詣でけり。 詣でて、歌を 導かれ 今日はここまで 尋ね来ぬ 母の在所の 三重の塔 と、詠み 牛に牽かれては善光寺にして 母の幼き頃 遊びし境内なれば、母の面影に 牽かれての参拝と思ひけり。