新編・伊勢物語 第四百四十四段 犬吠埼の夜明け 星原二郎第四百四十四段 犬吠埼の夜明け 昔、男ありけり。今も男ありけり。 その男、平成二十九年の寒さ厳しき頃、上総の国は 房総の犬吠埼へ行きけり。太平洋の海上に出づる朝日を 拝まむが目的にて、海岸に沿ひて立つホテルに 宿を取り、宿の自慢の渚際の露天風呂にて 夜明けを待ちて、歌を 沖島と 見紛ふ影は タンカーか 犬吠埼の 夜(よる)明けむとす と、詠み その後、雲の間に御来光を拝みけり。