新編・伊勢物語 第四百二十三段 猫の歌(前半) 星原二郎第四百二十三段 猫の歌(前半) 昔、男ありけり。今も男ありけり。その男、平成二十九年正月から大寒の頃にかけて猫に興味を抱き、歌を なまず屋の 床に鎮座の 招き猫 まづはめでたき 新年歌会 公園を 梁山泊の 野良猫ら 餌を欲るらし 近寄りて来る 人の列に 少し離れて 黒猫の すまし屋さんが 歩道を渡る 国宝の 阿弥陀堂なる 縁側に 午睡の猫の のどかなりけり銀(しろがね)の 猫も要らずと 道の辺の 子に与へしとふ 西行潔し