新編・伊勢物語 第三百九十四段 川湯温泉 星原二郎第三百九十四段 川湯温泉 昔、男ありけり。今も男ありけり。その男、平成二十八年の初冬 熊野へと行きけり。宿を川湯温泉に取りけり。名物は冬季のみ利用可能の露天の「仙人風呂」。野性味溢るるいで湯にひたり歌を 大岩に 耳を当つれば 地の底ゆ 湯の湧きあがる 音の聞こゆる かはたれの 鎌の月見て ひとり占む 川の湯広く 山の寂けさ と 詠み 地球のみめぐみに感謝し身を湯に沈めけり。