新編・伊勢物語 第三百九十二段 旅立ちの朝 星原二郎第三百九十二段 旅立ちの朝 昔、男ありけり。今も男ありけり。その男、平成二十八年の初冬、熊野を詣でむと願ひけり。しかして、その旅立ちの朝歌を 日柄よき 先勝ちの今日の 朝にして 雨はあがりぬ いざ旅立たむ と 詠み ユネスコの世界文化遺産に登録されゐる熊野へと向ひけり。