新編・伊勢物語 第三百九十段 家族の名前の歌 星原二郎第三百九十段 家族の名前の歌 昔、男ありけり。今も男ありけり。その男、親族の名前に寄せて、歌を 静岡の 光明(くわうみょう)山に 近く生れ 父は光明と 名付けられたり 静岡の浜名湖の北の 出身なれば 父は長女に 静江と名付けし 両祖父の 喜太郎里太郎の 一字づつ 兄は受け継ぎ 喜里(よしさと)といふ これの世に 数日のいのちの 弟は 光男(みつを)といひしが 光あたらず 命名は 親から子への はじめての 贈りものにて おろそかならじ と 詠み 名前の言霊の持つ力を信じけり。