第三百七十七段 三谷祭り
昔、男ありけり。今も男ありけり。
その男、平成二十八年の秋、蒲郡は三谷温泉に泊まりけり。
泊まりてその翌日、たまたま三谷祭りの日なりければ、
祭りを楽しみけり。三谷祭りは全国的にも珍しき
祭りの山車が「海中渡御」が見物にて多くの見物人を
集めけり。その男、謂れを聞きて、歌を
男神より 女神の宮へ 渡らむと
海をも越えて 山車勇み行く
と、詠み 人の世界と変はりなく、神々の世界も
男と女の間は同じと思ひけり。
因みに歌謡曲「黒の舟歌」は男女の間には
「河」が在ると歌詞にありしが
男神女神の間には「海」が在るもまた、面白しと思ひけり。