第三百七十五段 日本香堂の三行詩に入選
昔、男ありけり。今も男ありけり。
その男、平成二十八年十二月一日
株式会社日本香堂が募集せし三行詩
「こころの携帯電話ひろば」に
応募せし作品が入賞の知らせを受け取りけり。
作品は亡き人へのメッセージがテーマにて
「昭和三十一年二月四日生まれの弟よ
昭和三十一年二月六日に死んだ弟よ
共に酒を飲み 話をしたかった」
この作品の受賞を仏壇の諸霊に報告し歌を
数日の この世の命の 弟よ
今日は嬉しく 名を呼ぶ兄は
と詠み かって詠みし歌
奥津城に 「三男」「三男」と 名を呼びて
汝なれば如何にと 相談したし
うつしゑの 一枚もなく 顔を
知らねば浮かばぬ 弟なれど
母に聞きし 弟のことは わづかにて
確かなること ふたつ下なり
を思ひ出し懇ろに冥福を祈り 般若心経を唱へけり