第三百七十三段 桜島
昔、男ありけり。今も男ありけり。
その男、平成二十八年十一月、鹿児島は桜島へと行きけり。
行きて「桜島・ふるさと温泉古里観光ホテル」に宿を
取りけり。名物は龍神が棲むといふ海辺の露天風呂なり。
早速、白装束に身を包み いで湯を浴み 歌を
桜島の 宿の窓より 望み見る
錦江湾に 大き虹たつ
桜島の 波打ち際の 湯にひたり
薩摩半島 夕日臼く
龍神を 祭るいで湯に 浸らむと
白装束に 身をば包めり
溶岩に 太き気根は 絡まりて
赤秀の老木 いのち逞し
赤秀の木 年古り気根の 垂るる奥に
龍潜みゐて いで湯吐くとふ
大隈の 山のあなたに 日は昇り
錦江湾の 海面かがやく
と 詠み龍神伝説を諾ひけり。