第三百六十段 古戦場の武者達達
昔、男ありけり。今も男ありけり。
その男、長久手の古戦場跡にて、タイムマシン「木製の
ベンチ号」に乗り、戦国時代の真っ只中へと行きけり。
行きて歌を
荒武者の 現れいでて 迫り来る
思ひうつつに 古戦場の道
若武者は 初陣ならむ をさなさの
残るかんばせ 凛凛しかりける
落武者は 太刀を杖とし 末期の水
欲しと手を伸べ やうやうに言ふ
大垣城主 池田信輝ここに 戦死との
碑は古り苔に 読み難たかりき
斃れたる 兵どもの おん魂を
慰めむとて 桜植ゑらる
と 詠み 荒武者、若武者、落武者と三様の
武者達達との遭遇の時間旅行より戻りけり。