新編・伊勢物語 第三百四十八段 那須大丸温泉 星原二郎第三百四十八段 那須大丸温泉 昔、男ありけり。今も男ありけり。 その男、日本百名山のひとつ那須茶臼岳の麓の 大丸温泉へと晩秋の時雨降る中 行きけり。 行きて歌を 那須岳は 雪をかづきて 煙吐く バス降り立ちて 湯の香に仰ぐ 堰とめて 流れくる湯を 満たしたる 「川の湯」といふ 宿に泊まるも 那須に来て 降り来る雪と ともに入る いで湯豊かに あふるるところ と 詠み 那須のいで湯に 身も心も温まりけり。