第三百三十九段 軍隊に徴用の馬を思ふ
昔、男ありけり。今も男ありけり。
その男、平成二十八年の初秋の頃、木曾御嶽の麓の
木曾馬資料館へ行き、人のみならず馬も戦争当時
過酷なる試練に遭ひしことを知りて、
歌を
軍用に 不適格との 断くだり
数減りゆきし 過去遠からず
絶滅の 危機に瀕して ありしかど
やうやう殖えて 牧場に憩ふ
辛うじて 残りゐし馬を 種として
殖やさむ努力 重ね来しちふ
と、詠み 木曾馬の純粋種として残りゐし種馬の剥製を
展示ケースの中に眺め続けけり。