第三百二十六段 綿神祭る天竹神社
昔、男ありけり。今も男ありけり。
その男、三河の西尾にある天竹神社へと行きけり。
行きて 歌を
綿の種 持ちて海越え 崑崙の
ひと至りしは ここと伝はる
綿神と 外つ国なれど 崑崙の
ひとを祭りて こだはりはなし
綿神と 崑崙ひとを 祭りては
年ごとの綿 御前に捧ぐ
綿神は 三河木綿に 栄え来し
この土地なれや 篤く祭らる
と 詠み インドよりはるばる 海を渡り
届き始まる 我が国の綿作の歴史に
心を遊ばせけり。