新編・伊勢物語 第三百二十四段 山葵田を流るる清水に 星原二郎第三百二十四段 山葵田を流るる清水に 昔、男ありけり。今も男ありけり。 その男、平成二十八年の秋の盛りの頃 惚れたる女の誘ひに乗りて信州は安曇野の 大王山葵農園へと行きけり。 広き農園内を語りつつ そぞろに歩みけり。 歩みて女 いと水の清らかさに手を浸しけり。 男、その女の様をみて歌を 安曇野の 山葵田流るる 水清み 指(および)をひたす 仕草愛らし と 詠み 山葵田を後にし 安曇野の湯の宿へと向かひけり。