新編・伊勢物語 第三百二十三段 大王山葵農園 星原二郎第三百二十三段 大王山葵農園 昔、男ありけり。今も男ありけり。 その男、平成二十八年の秋の盛りの頃 信州は安曇野の大王山葵農園へと行きけり。 行きて 歌を 安曇野を 統べゐて猛き 大王の 名を付けしとふ 山葵田の秋 大王の 無念をここに 鎮めむと 祀る御社 秋の日おだし 観光の ひと多(さは)に集ふ 安曇野の はろけき昔(かみ)の 出来事思ふ と 詠み 名物の山葵たっぷりの 蕎麦を頂き 涙流しけり。