第三百二十段 安曇野の古代の大王
昔、男ありけり。今も男ありけり。
その男、平成二十八年の秋の盛りの頃
信州は安曇野へと行きけり。
遠き昔、この地方にて縄文系の人々を統べゐたる
古代の大王に思ひを馳せて
歌を
安曇野の 魏石鬼八面大王の
昔を語り部の 秋風に聴く
大王の 棲みゐし岩屋と 伝はるは
有明山の 森の奥なる
と 詠み 八つの顔を持つ怪物と伝へられ来し訳と、
其の当時の安曇野の地に思ひを馳せつつ、
秋の安曇野の地を巡りけり。