新編・伊勢物語 第三百十九段 祖父より聞きし子守唄 星原二郎第三百十九段 祖父より聞きし子守唄 昔、男ありけり。今も男ありけり。 その男、ある時 祖父より聞かされし子守唄を 思ひ出し、歌を 子守唄 津々浦々に 数あれど いづれ聞きても 調べ哀しも わが祖父の 三河安城の 子守唄 「泣く子は捨つる」と 繰り返しいふ 覚えをり 「ねんねん庄屋の 子供でも 泣けば御薦(おこも)の 子にやるぞ」と と 詠み 吾も亦 孫に子守唄をそのまま 唄ひけり。