第三百二段 続・古鏡
昔、男ありけり。 今も男ありけり。
その男、古代鏡に関心を寄せけり。渡来人の持ち来し
金属の鏡の眩きばかりの光を初めて目にせし縄文系の
人々の驚きの顔、浮かび来れば
歌を
真澄鏡 清き月影 写しつつ
祭りの斎庭の 踊りの輪の中
祭壇の 鏡に写る 日輪の
日光まばゆく 畏れしならむ
葦原の 瑞穂の国に 渡り来し
ひと携へて 鏡入り来ぬ
と 詠み 心を遠き古代へとタイムスリップさせけり。