新編・伊勢物語 第三百段 駅、出会ひと別れ 星原二郎 | isemonogatari2のブログ

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第三百段  駅、出会ひと別れ

 

昔、男ありけり。今も男ありけり。

その男、名古屋鉄道の知立駅に程近く住みけけり。

ある日、漢詩調に「朋アリ、遠方ノ九州ヨリ

来タル。亦 愉シカラズヤ」と思ひ歌を

 

ここに会ひ ここに別れの 物語

数々あらむ 舞台の駅は

 

九州より いで来し友を 迎へては

一期一会ぞ 酒をこそ飲め

 

駅前の 赤提灯の 居酒屋に

吸はるる如く 友と入り行く

 

再会を 共に喜び ともかくも

まづは乾杯と ビール注ぐなり

 

改札の 内と外とに 隔たれど

(つひ)別れと なることなかれ

 

と 詠みて 改札口に振り向かず

入りて消えたる友を見送りけり。