新編・伊勢物語 第二百七十九段 柿田川 星原二郎 | isemonogatari2のブログ

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第二百七十九段 柿田川

 

昔、男ありけり。今も男ありけり。

その男、静岡の柿田川へ湧水を見むと行きけり。

行きて歌を

 

 富士に降る 雪幾年を 経てここに

   真清水となり 湧き出づるなり

 

 川の無き 富士の山にて 豊かなる

   地下水ここに あふれ湧きゐる

 

 もこもこと 砂盛り上げて 湧き出づる

   水の力の 妙なる営み

 翡翠(かはせみ)は 姿見せねど 棲むといふ

   この川筋を 守りゆくべし

 

 この川を 遊び場とする 少年の

   案内(あない)に川辺の 細き道行く

 

 真澄なれば 流れに泳ぐは 鮠にして

   すばやきさまの くきやかに見ゆ

 

 陽光に 速き流れの 川の面

   煌き増して 昼たけにけり

 

と 詠み 富士の持つ魅力に感嘆の声を挙げけり。