新編・伊勢物語 第二百五十三段 縄文土偶 星原二郎 第二百五十三段 縄文土偶 昔、男ありけり。 今も男ありけり。 その男、縄文土偶に心ひかれ歌を 縄文の 心をここに ありありと 祈りの土偶 願ひの器 文字持たぬ 縄文人の のこしたる あまた土偶の 語るを聴かむ 地中(つちなか)に ながくねむりて ゐしものを ふくよかなるかな 縄文ヴィーナス と 詠み 豊穣、かつ肉体美備はる縄文ヴィーナスに 恋ごころをほのかに抱きけり。