第二百四十三段 出雲の勾玉
昔、男ありけり。 今も男ありけり。
その男、出雲の国へと古代の勾玉を訪ね行きけり。
原石の産する山と工房跡を取材し
思ひを歌に
花仙山の 瑪瑙をここに 運び来て
勾玉造りし 村跡にたつ
青き実の 南京櫨は たわわにて
勾玉工房の 跡に繁れる
今になほ 出雲勾玉 瑪瑙もて
造りつづくる 人に聴くかな
現代の 技もて造る 勾玉の
耀ふ瑪瑙 胸に飾らむ
と 詠みて 出雲の国の風土記の丘に
吹く古代からの風に、こころ遊ばせにけり。