第二百四十二段 玉造温泉
昔、男ありけり。 今も男ありけり。
その男、黄泉比良坂を訪ねしあと
出雲の国の古代と温泉を訪ね行きけり。
宿泊は古代より医薬治病の神湯の玉造温泉。
いで湯にひたり、宍道湖の魚介類の珍味を
楽しみ、歌を
八尺瓊の 勾玉の地の 出雲なれ
玉湯川橋 おばしまの玉
発見は 少彦名とふ 玉造
医薬治病の 神湯にひたる
たまたまに 夏の祭りの 宵なれば
湯の町あげて 賑はしきかな
宍道湖の 豊けき恵み 七珍の
狭しと並びて 食し切れぬかも
と 詠みて出雲の古代に遊びけり。