第二百三十二段 姫川の翡翠勾玉
昔、男ありけり。 今も男ありけり。
その男、古代の装飾品の勾玉にいたく興味を持ち、
その原産地の姫川上流、及び加工工場跡と伝はる
長者ヶ原遺跡へと行きけり。
しかして、歌を
姫川の 翡翠漂石 拾ひ来て
長者ヶ原は 玉作りの村
日の本の 独自のものと ながくながく
作られて来し 硬石勾玉
佩玉の 若者電車に 乗りてをり
弥生時代と さして変らず
翡翠なる 勾玉君に 贈りてん
相会ふことの 四度目の日は
と 詠み、自らの身にも佩き 悦に入りけり。