第二百三十一段 勾玉の謎
昔、男ありけり。 今も男ありけり。
その男、古代の装飾品の勾玉にいたく興味を持ちけり。
調べ行く程に謎はますます深まりければ、歌を
内側を 丸く刳りぬき 紐の孔
頭にあけ碧き 勾玉なりき
日の神の 像の鏡 月読の
相の玉に 宿る奇魂
何ゆゑに 斯くの如くに 曲れるか
月に拠るとも 牙に拠るとも
わが身をば まがごと除けて まもらむと
終の形の 勾玉ならむ
と 詠めど、勾玉の謎は深まるばかりにて
わが愚かなる頭脳は混乱を来たしけり。